設計図

江戸時代の人たちに愛されたからくり人形はどのような仕組みで動いていたのか。
当時の機構図をもとに復元された茶運び人形の図解をご紹介。

からくり人形の仕組み

1、前進ー歯車のはたらき

ゼンマイのほどける力を最初に受ける一つの人形(歯車)の歯数は60、その回転力を受ける二つの輪の心車の歯数が8。したがって一つの輪が一回転する間に心車はおよそ7回転する計算になるが、実際は6回転でカムにかかる。人形を前進させる動輪の直径が約10cmなので、カムにかかるまでに人形は160cmほど進む。一の輪にはゼンマイが勝手にほどけるのを防ぐための留輪(爪車)がついている。

2、歩くー足の動き

左右の動輪に取り付けられた板には、左側では中心より前寄りに、右側では中心より後ろ寄りに、とりつけるよう「機朽図」には記されている。そうする事によって動輪の回転がクランク運動をする事になり、左右が互い違いに前後する動きを生み出す。この部分と人形の足がつながっているので足が前進に踏み出され、あたかも歩む様に見える。

3、調速ー行司輪と天符

人形の左側板の内側には行司輪と言われる、時計の調速機の仕組みをそのまま応用した輪がついている。そして天符という棒状の輪の上下にとりつけられたツメが交互に行司輪の歯に引っかり、規則正しいリズムの回転を作り出す。その動きに連動して他の人形の全ての機構の動く速さが調達される。人形が一定の速度で動くのは、この機構のはたらきにかかっている。

4、方向転換ーカムの働き

人形の進む方向を変えるのは底板前方にとりつけられた小さな車輪である。いわば三輪車の前輪の役割をする。この車輪の向きを決めるハンドル状の部材の左側を一つの輪(動輪)の左側にあるカムが押すことによって人形は右旋回する。カムが働いている間人形は旋回運動を続けるが、カムが外れるとバネの作用によってハンドルの位置はもとに戻り、人形は再び直進する。

5、スイッチ-停止の仕組み

茶運び人形の動きの中で、一度停止した人形が再び動き出す仕掛けほど興味深いものはない。その秘密は人形の腕の動きを巧みに利用した機構にある。茶受けの上に茶碗を置くと、その重さで腕が下がり軸木をまわし、ストッパーがあがる。反対に茶碗を取り上げると、バネの働きで手先が上がって軸木がまわり行司輪のツメ輪に引っかかる部材を下へ下げ動きを停止させる。茶碗を置いたり取ったりする事で生じる腕の上下運動がスイッチの働きをするという仕掛けである。